「はぁ……っ」

「依茉、もう少しだけ……」


 こんなふうに慧くんに求められると嬉しくて、もっとして欲しいって思ってしまう。


 まだ、やめたくないって思っちゃう。


 これが、大好きな人とするキスなのかな。


「好きだよ、依茉」

「わたしも……好きっ」


 隣の部屋に聞こえないよう、キスの合間に互いに小声で囁き合うわたしたち。


 勉強会の休憩中とはいえ、こんなふうにクラスのみんなに内緒でキスをして。


 何だか悪いことをしているって気持ちにもなったけれど……。


 やかんのお湯が沸くまでの慧くんとの束の間のキスは、癖になりそうなくらい甘くてすごく幸せなものだった。


 そしてそのあとは美味しい紅茶を飲んで、真剣にみんなと一緒に勉強を頑張ったのだった。