それから彼に手を繋がれたまま、30分ほどが過ぎ……。


「それじゃあ、勉強始めて1時間になるし。ここで1回休憩しよっか」


 そう言うと、一堂くんはずっとテーブルの下で繋いでいた手をようやく離してくれたので、わたしはホッと胸を撫で下ろす。


 ああ……皆にバレないか、この30分ずっとドキドキしっぱなしだったよ。


 ふたりきりのときなら全然問題ないけど、さすがに今はちょっとね。


「俺、お茶の用意するから。依茉、悪いけどちょっと手伝ってくれる?」

「あっ、うん。手伝うよ」


 わたしは一堂くんのあとに続いて、隣のキッチンへと移動する。


 「ねぇ、一堂くん。なんでさっき、わたしにあんなことしたの!?」


 水道でやかんに水を入れる一堂くんに、わたしは思わず尋ねる。


「ん? あんなことって?」

「手だよ。皆がいるのに、こっそり手を繋ぐなんて……!」

「ああ……」


 コンロにやかんをセットし、紅茶をいれるためのお湯を沸かし始めた一堂くんがわたしのほうを見る。


「あのときは、依茉と手を繋ぎたかったから繋いだんだけど……ダメだった?」