「い、一堂くん……」 わたしが小声で名前を呼ぶと、一堂くんはようやくこちらを見る。 手、手……! わたしは持っていたペンを置き、ジェスチャーで繋いでいる手を解くように彼に伝える。 それなのに一堂くんは首を傾け、手を離してくれるどころか逆に力が込められる。 うそ。もしかして、伝わってない……!?