えっ、一堂くん!?


 咄嗟にわたしが一堂くんのほうを見ると、彼は顔を有働くんのほうへと向けて英語を教えている最中で。


 もしかして、間違って繋いじゃったのかな?


「いいか、有働。この場合は、I must……」


 一堂くんの英語の発音、すごく良いな。ネイティブの人みたい。


「なるほど。それじゃあ、この答えは……」

「うん、そう。正解だ。有働もやればできるじゃない」

「ありがとうございます!」


 有働くんが英語の問題をちゃんと解けたようで、一堂くんの声もいつもより少し弾んでいる。


 一堂くん、最初は渋々って感じだったけど。


 いざとなると、有働くんにじっくり丁寧に英語を教えてあげていて。


 やっぱり優しいなと思いながら、わたしは彼に繋がれていた手をそっと解く。


 ──ぎゅう。


 だけど、またすぐに一堂くんに手を繋がれてしまった。


 しかも今度は、ただ繋ぐのではなく指先をひとつひとつ絡めた恋人つなぎ。


 ちょっと……! いくらテーブルの下とはいえ、みんながそばにいるのに手を繋ぐなんて。


 一堂くんってば、大胆すぎる……!