『好きです! 付き合ってください!』
そして依茉は小林に告白し、俺の予感は見事に的中。
依茉は俺が中等部の頃、学年を問わず男子の間で可愛いと人気があったから。
小林も告白をOKするのだろうと、ドキドキしながら見ていたら……答えはまさかのNOで。
『……あははっ。やっべぇ』
依茉のすぐ近くでその瞬間を見ていた俺は、気づいたら笑い声が出てしまっていた。
決して振られた依茉をバカにしたかった訳ではなく、依茉が誰かの彼女にならずに済んで、嬉しさのあまり思わず……といったところ。
自分の気になっていた女の子が、男に振られて喜ぶなんて。ほんと俺って、性格悪いよなと思いながら。
『なっ、何なんですか!? こっちは振られて傷ついてるっていうのに』
依茉は俺のことを全く覚えていなかったみたいで、かなりショックだった。
まあ、俺が中学を卒業してから今日まで依茉とは一度も会ってなかったし。
そもそも依茉とちゃんと会話したのは、中庭で水をぶっかけられたあのときだけだったし……と、自分に言い聞かせる。