わたしが一堂くんのお見舞いに行った2日後、彼は元気に登校してきた。


「おはよう、依茉」

「おはよ、一堂くん。体調はもういいの?」

「すっかり良くなったよ。依茉が看病してくれたお陰だね。ありがとう」


 パチッとウインクする一堂くん。確かに、この前と違って顔色も良さそうだ。


「べ、別にわたしは何も……」

「プリンを食べさせてくれて、抱き枕にもなってくれたしね?」

「あっ、あれは仕方なく……」


 あの時のことを思い出すと、頬が一気に熱くなる。


「ははっ。依茉、顔赤くなっちゃって可愛い」


 一堂くんが親指の腹で、わたしの頬を撫でてくる。


「あのさ、依茉。看病してくれたお礼をさせて欲しいんだけど」


 一堂くんが、わたしのほうへと顔を寄せてくる。


 ま、まさか。一堂くんのことだから、『お礼のキス』とか言って、またキスしてくるんじゃ……。


 わたしは、唇を咄嗟に手で覆う。