「一堂くん。みかんゼリーとプリン買ってきたんだけど、どっちが良い?」
「……どっちもいらない」
一堂くんが寝返りを打ち、わたしに背を向ける。
「ごめん。ほんとに今、食欲なくて」
「そっか。せっかく買ってきたけど……食欲ないならしょうがないよね。冷蔵庫に入れておくから、体調が良くなったら食べてね」
キッチンのほうへ行こうと、わたしが立ち上がったとき。
後ろから、スカートの裾をくいっと引っ張られた。
「わっ!」
「……それ、俺のために買ってきてくれたの?」
「そうだけど?」
「だったら……食べさせて?」
……え?
「依茉にあーんしてもらったら、食べられそう」



