そもそも依茉に気が向かないようにするために、女なら来る者拒まずで付き合っていたというのに。
『お前に、妹に変な虫がつかないように、虫除けになって欲しい』
矛盾していると分かっていながらも、親友である怜央の頼みとなると、依茉の恋人役を断るなんて俺にはできなかった。
そして何より、一番の理由は俺が依茉のそばにいたかったから……了承したんだ。
仮にでも依茉が俺の彼女だと思うと、怜央から禁止されていたハグもキスも我慢できなくて。
恋人として一緒に過ごすなかで、依茉の良いところを沢山知って、愛しい気持ちは日に日に増していくばかり。
学校で三原と仲良くしている依茉を見ると、すごくイライラして。その度に、頭がどうにかなりそうだった。
ただでさえ中学の頃から依茉のことが気になっていた俺が、彼女を好きにならないなんて……そんなの無理だった。
気づいたときにはもう、本気で……依茉を好きになってしまってた。
こうなったら、後戻りはできない。いや、するつもりもない。
さっき『これから俺、本気出してもいい?』って、依茉にも言ってしまったから。
完全に気持ちを自覚したからには、もう遠慮なんてしない。他の女子と付き合うのも、遊ぶのもやめる。
これからは今まで以上に、とことん本気で依茉と向き合っていくつもりだから。
覚悟しててよ、依茉───。