──『ねぇ、慧さん。この間の中間テストの答案は、返ってきたの?』
夕食後。天井からシャンデリアが吊り下がる実家の広いリビングで、頂き物の高級メロンを食べていると、向かいのソファに座る母に聞かれた。
『ああ、返ってきたけど?』
『すぐに見せなさい、慧』
メロンを食べている途中なのに、面倒だなと内心思いながらも、俺は父に言われてすぐにテストの答案用紙を2階の自室まで取りに行く。
『……はい』
5教科の答案用紙を、俺は父に渡す。
『英語は満点で、国語と社会も95点以上だが。数学が73点で、理科は……69点!?』
俺のテストの点数を見た父の眉間の皺が、深くなる。
『理系に関しては、前回の試験より10点以上も落ちてるじゃないか』
『今回のテストは、ちょっと難しかったんだよ』
それでも、平均点以上はなんとかとれている。
『こんな点数をとるなんて、慧! お前、毎日バスケばかりやってるからじゃないのか!?』
顔を赤らめた父が、両手でテーブルをバンと叩く。



