「ねぇ、一堂くん! ダメなところは直すから、あたしとまずは友達から……」


 俺の腕をガシッと掴み、懇願するような目で俺のことをじっと見つめてくる女。


「キミがダメとかじゃなくて。俺、今は恋愛よりも部活を頑張りたいから」

「ねぇ、それじゃああたしと友達になってくれるの?」

「いや、それはちょっと……」


 ……どうするかな。女子に、あまりキツいことは言えないし。


 俺が視線を、彼女から逸らしたとき……。


「きゃあ!?」


 いきなり叫び声がして彼女のほうを見ると、目の前のツインテール女子はなぜかびしょ濡れになっていた。


 ツインテール女子の後ろには、花壇の水やり用のホースを持った1年の女子が。


「ごごご、ごめんなさい。花壇に水をやっていたら、手が滑っちゃってつい……」

「やだ、もう。早く乾かさないと……」


 1年女子のほうを睨むと、ツインテール女子は俺のもとから足早に去っていった。


「はぁっ。キミのお陰で助かったよ」

「いえ。ほんと、あれはわざとじゃなくて……」


 あれ? この子、どこかで見たことがある。


 ああ、そうか。怜央の妹だ……。