あの日から1週間。
私はあの男の顔などすっかり忘れ、楽しい毎日を過ごしていた。

「2週間ぶりのハーゲン〇ッツ、、、今回こそ見知らぬ男に踏まれるなんて失態は犯さない、、」

学校が休みの日に近所のスーパーでアイスを買って食べるというのが私の小さな幸せだ。

先週は予期せぬアクシデントでこのささやかな幸せを壊されてしまったため、今日こそは何事もなくアイスを食べたい、、、と思っていたその時、、、

「おねーサン、今ヒマ??」

知らない男2人組が私の前に立ちはだかり、そう声をかけてきた。

「、、、は?いや全然」

嘘では無い。私にはこのハーゲン〇ッツを溶かさず家に持ち帰るという大切な使命があるのだ。

「えー暇そうじゃ〜ん。俺らと遊ぼーよ」

尚も食い下がってくるIQの低そうなチャラ男たちに思わず舌打ちしそうになったが、どうにか耐えた。

「いや、ほんとに暇じゃないです。忙しいので」

軽く頭を下げて彼らの横を通り過ぎようとする。

すると

「待てって」

と肩を掴まれた。

「あの、触らないでもらっていいですか?警察呼びますよ?」

その手を振り払い、彼らを睨みつける。

私のような絶世の美女の体に触れるなど、万死に値するほどの罪だ。

「警察とか大袈裟過ぎるって。絶対忙しくないでしょ」

「そーだよ。俺らと楽しいコトしようよー!」

なんだ、楽しいコトって。家でハーゲン〇ッツ食べる方が楽しいに決まってる。

「いやしつこいです。いくらなんでもモテないからって、、、暇なら他を当たって下さい」

そう言ってその場から立ち去ろうとする。
しかし、

「、、は?」

「なめてんの?痛い目見ないと分からない?」

何が彼らのプライドを傷つけたのか、それは知る由もないが、男の1人が私に拳を振り上げた。

「歯ァ食いしばっ、、」

「せいやぁぁぁぁ!!!」

その拳が私に触れる寸前、私は自身の肘で彼のみぞおちを攻撃した。

critical hitだ。

「ぐおっ!!!」

お腹を押さえて膝をつく男。
もう1人が信じられないものを見るような目で私を見た。

「は、、、?」

しかし次の瞬間、彼もまた私を殴ろうとその手をグーにして襲いかかってきた。

「どるあぁぁぁぁぁ!」

すんでのところでその攻撃を避け、申し訳ないが彼の急所に蹴りを食らわせる。

「ぐわぁっ!!」

潰れたカエルのような声を出して彼はうずくまった。少し可哀想だが、正当防衛だから仕方がない。

肩で息をしながら、瀕死の彼らを見下ろす。

「私と遊ぼうなんて100年早いのよ。私を殴るのに関しては1000年早い」