水族館に着き、飼育員以外の人が全くいないことに驚きつつ、早速魚を見に行くことにした。

「この魚、きれい、、、」

水槽の中で自由に泳ぎ回っている魚を見つめ、思わずガラスに手を当てる。

「ああ、その魚は古代からほとんど形が変わらなくて、、、何種類かいるんだが、、色はほとんどが、、、」

何やら語り始めた綾川の隣で、私は溢れるよだれを我慢するのに必死だった。

(とってもおいしそう、、、)

丸焼きにしたら、さぞ私の舌を満足させてくれるような味になるに違いない。

「まあ、気に入ったのならこの水族館ごと買い取ってやってもいいし、、」

いろいろな魚料理を思い浮かべて楽しんでいた私は、そんな綾川の声にハッとし、現実に戻ってきた。

「あ、いやそこまではしなくていいよ別に」

もう会うこともないしとは流石に言えない。

それにしても先程から本当に驚かされることばかりだ。やはり、財閥の御曹司となれば住む世界が違うのだろう。と改めて実感する。

「遠慮しなくてもいいんだぜ。あ、そうだ。ここペンギンもいるって聞いたんだがお前好きか?」

「ペンギン、、、」

果たして、ペンギンは美味しいのだろうか、、、?

一応鳥類ではあるが、流石に七面鳥などとは違う味がするのだろう。

そこまで考えて思わず頭を振る。
こんなことばかり考えて、まるでデート(?)に集中してない。

そう思った時、私のお腹が大きな音を立てて鳴った。

気づけば時刻は14時を過ぎようとしていた。

「なんだ、腹がすいたのか?この水族館は確かレストランもあったぞ!食べに行こうぜ!!」

意外にも気を使ってくれた綾川の言葉に頷く。

きっと彼もお腹が減っていたのだろう。

水槽を離れて、私たちはレストランへと向かった。