あの女とのデートに向けて、俺は完璧なプランを立てることにした。

「おい、竹岩!この服はどうだ!?」

全身ブランド物で固めた、いかにもイケてる男という服装で鏡の前に立ち、近くの竹岩に声をかける。

すると、竹岩はまるでこの世のものでは無いものを見るかのような目で俺を見た。

「お坊ちゃま、、、」

言葉を無くした竹岩は、無言で俺のクローゼットから大量の服を持ってきた。

「柄に柄を合わせるのはファッションのプロでないとなかなか難しいかと、、、」

そう言いながら、服の山から地味な服を取り出していく。

「なんだよ!俺の服がおかしいって言うのかよ?」

「今後のお坊ちゃまのためにもストレートに申し上げますが、、、私が女性でしたら間違いなく隣を歩きたくありません」

「なっ、、、!!」

真剣な竹岩の顔を見て、俺は唇を噛んだ。

「そんなこと言うならお前がコーディネートしろよ!」

「お任せ下さい。これでも私、若かりし頃は大勢の女性を虜にしてきましたから」

「ガリガリなのにか?」

「そういうところですよ」

竹岩の言葉に、何がだよと思いつつ、持ってこられる服を素直に着ていく。

「しかし、あのお坊ちゃまが一人の女性のためにここまで必死になられるなんて、、、ついにお坊ちゃまにも春が、、、」

明後日の方向を向いて、涙を我慢するような表情をしている竹岩に俺は鼻を鳴らした。

「あ?言ってなかったか?俺はあいつを惚れさせて、告白してきたときにこっぴどくフッてやるんだよ。復讐だよ!!」

「復讐、、、?そういえばあの女性とはどこで知り合ったのですか?」

「俺がボディーガードから逃げ出した時に知り合ったんだ。狭い道で真ん中歩いてやがって、しかもぶつかってきたのに土下座もしなかったんだよ!!暴言まで吐いてきやがって!!」

俺はあの女との因縁を竹岩に熱弁した。

顔に手を当てた竹岩が「だめだこりゃ、、」と呟き鼻で笑ったのを俺は聞き逃さなかったが気にしないことにした。

「まあそんなこんなで、何をしてでもあの女を俺に惚れさせなきゃいけないんだ!!だからとびきり格好いい服で頼むぜ!」

「かしこまりました。顔しか取り柄がないようなお坊ちゃまでも惚れて頂けるようなコーディネートを用意しますとも」