施設をでるとたかべぇが待っててくれた。

「行ってきました…」
と小さな声で言うと


「そうか。」

と一言たかべぇは、答えてくれた。

その静かな優しさが私には、痛いほど嬉しくて


「おばあちゃん。生きてたよ。
ちゃんと謝ってきたんだから。
一生懸命笑ってきたんだから。」

と一人で話し続けたらたかべぇが

「おかえり」

と言って私の頭をなでてくれた。

その瞬間涙が枯れるという言葉がないと思えるほど泣いていた。

そして同時に胸が水風船を投げられて破れたような感じでたかべぇが

『大切な存在』

だったことを思い知らされた。