――どれだけ自分が勝手に悲しんでも苦しんでも嫌でもその日は巡ってくる。





「今日は誘って頂きありがとうございます」





「……2人きりだから楽に話してくれて良いよ」





「で……でも」





「俺が良いって言ってるんだから大丈夫だよ」





「はい……努力します」





「うん、努力してみて。あ、車、一応用意させてるけど酔っちゃったりしたら言ってね、今日は俺が運転するし」





 一瞬笑った笑顔がなんだか優しくて胸の棘が逆に少し緊張をより促すように揺れる。





 だってこの人はこう見えて黒鉄組の若頭なのだから……決して忘れてはならない。





 気を抜いたら駄目だ。





「その……護衛は大丈夫なんですか……」





「予め準備はしてあるからね、心配は要らないよ」





「分かりました」





 私なんかが心配する事じゃないのは分かってる。





 でもその意味は後で直ぐに分かる。