零れる涙に荒くなる呼吸を使用人達にも聞こえないように布団に潜り枕を前に声を押し殺して涙を流す。




 どうして自分はこんなにも従順で脆いのだろうか……。





 強くなりたい……そう思って、一人で生きていく為に勉強だって頑張ったり、体力をつけこの家から縁を切って逃げ出そうと何度だってためした。




 なのにその全てをある男が邪魔をする。





「鍵を閉めて、引きこもってしまわれるおつもりですか? 泣いているのはわかっているんですよ、明日、目が腫れてしまう前に冷やしておきましょう」




 また邪魔をする……。




 一人で泣かせてもくれないなんて……極悪非道な家に仕えるだけの事はある。





「優羽様開けさせて頂きますね、失礼します」




 また勝手に許可なく入ってくるところも気に食わない。




――ガチャ。





 男は勝手に入ってくるなりベッドの上で居る私から布団を強制的に剥ぎ取り、私の瞳の上に薄い手ぬぐいで巻かれた保冷剤を当てる。




「ッ……触らないでッ……冷やせば良いんでしょ……出ていって……もう貴方にもさんざんよ……」





「どんな形であれ、優羽様を守るのが私の仕事です」




「そう……」




 本当に自分が弱くて嫌になっちゃうよ……。