ハンバーガーショップ作戦会議の翌日の朝……

私はまたまた気合十分に登校した。
そして、またも大きな声であいさつする。

「おっはよ~ございま~す!!」

「おはよう!」
「おっはよう!」
「おっはあ!」

「おはようっ!」
「おっはようっす!」
「おっはあ!」

「凛、おはよう!」
「山脇、おっはよう!」
「おっはあ! 凛ちゃん!」

「凛! おはよう!」

「おはよう! 遥!」

「おはよう! 凛ちゃん!」

「おはよう! 颯真君!」

朝のあいさつも、完全に慣れた。

自然に、スムーズに行える。

あいさつして、クラスメートたちから返事が戻って来るって、心地良くて最高!
シンプルな事だけど、本当に素敵! 素晴らしいよ!

遥、颯真君とも、しっかり、あいさつを交わした。

うん!
今日の昼休みは必ずうまく行く!

そんな予感がする。

そう!
決戦は昼休み……なんだ。

今日の昼休み、昨日ハンバーガーショップで打合せした作戦が始動するのだ。

やがて……授業が始まり、取り巻きのクラスメート女子が自分たちの席へ去り……
視界に入った颯真君とアイコンタクトで交信し合い、私は授業に臨んだ。

そんなこんなで、午前の授業が3つ終わり……

キ~ン、コ~ン、カ~ン、コ~ン!!

と、結構なボリュームでチャイムが鳴り、昼休みとなった。

ああ、チャイムと同時に颯真君ファンの女子たちが猛ダッシュ。

速攻で、こちらへ駆け寄って来た。
皆、良いポジションを取ろうと必死なんだ。

いつもなら、このまま私は何も出来ず、遥と教室を出て、海斗君と合流。
学食か、売店経由で屋上。
いずれかでランチをとるパターン。

一方、颯真君は、ファンの女子たちと、くっついて来る男子。
クラスの大人数でランチ……となる。

しかし!
今日は違う!
名付けて、パターン破り!

女子たちが集まったのを待って、颯真君が声を張り上げる。

「お~い! いっつも別だろぉ? たまには一緒に昼飯、食おうぜ! 凛ちゃん! 遥ちゃん!」

うん!
作戦通りだ!

対して私たちも作戦通りに、元気良く返事をする。

「は~い! 颯真君!」
「了解! 颯真君! いっくよお!」

私と遥が快くOKして、近寄って来たのを見て、
颯真君目当てなクラス女子たちの反応は様々だ。

いろいろな状況をかんがみて、「納得だ」というように大きく頷く子。

「何? うそぉ?」 と驚き、首を傾げる子。

「何で、山脇と田之上が来るのよぉ!」 と、敵意むき出しの子。

そして『完全無視』で、一方的に颯真君へ話しかける子。

ここで颯真君が、このカオス状態を収めようと姿勢を正した。

軽く息を吐き、真剣な表情で女子たちへ、

「おい、みんな! 忘れてないと思うが、前にも言った通り、俺、クラス全員と仲良くしたいんだ。凛ちゃんと遥ちゃんと、メシくらい一緒に食べてもOKだろ?」

と言い切った。

騒いでいた女子たちは颯真君の気迫に呑まれたかのように、しん!と静かになった。

取り巻き女子全員が、真っすぐに視線だけを向けている。

そして颯真君は、けじめをつけようという感じで、

「皆、転入して来たばかりの俺に、いろいろ親切にしてくれてありがとう。本当に感謝してる。でも、こんな俺の考え方が嫌ならば、無理してメシに付き合わなくて構わない。普通にクラスメートとして接しようぜ」

更に、

「それに俺、他のクラスの奴とも仲良くしたいんだ。遥ちゃんの友達の松本海斗君とかさ、彼にも入って貰って構わないぞ」

颯真君が海斗君の話をし、ここで遥が「待ってました!」とばかりに反応。

「海斗ぉ! 颯真君がさあ、一緒にランチ行こうって!」

と、手を振って呼んだのだ。

すかさず、海斗君が教室の入り口に出現。

「お~、颯真君、ぜひ俺も混ぜてくれ!」

と、教室の入り口から叫んだのだ。

よっし!
ここで間を置かず、電撃作戦!

私と遥の出番である。

「じゃあ、皆で一緒に行きましょう!」
「全員、学食へ、レッツラゴーよ!」

最後に締め!

という事で颯真君が、

「よし、いっしょに行ってもOKな者だけ、俺達と一緒に行こう!」

と、女子達だけでなく男子達にも呼びかけ、
私達は学食へと向かったのである。