「まったく……どうでもいいけど、親子げんかは外でやってくれよ」
そう言いながら蒼紫さんが私の隣にやって来た。
「親子?」
「あれ?菫花は凛に会ったこと無かったか?凛は兄さんの娘だよ」
社長の娘さん?
あれ?でも社長の娘さんは確か……。
「蒼紫さん、社長の娘さんって小学生だったのでは?」
「ああ、凛は小学生だ。確か小学5年生」
「小学生!小5」
衝撃的だった。
確かに今、社長に抱きつき泣きじゃくる姿は小学生といった感じだが、それなら先日のあの大人っぽい姿は一体どういうことなのだろうか?バッチリ化粧もしていたようだったが……。
「あの蒼紫さん、先日凛さんと会社でお会いしたのですが、とてもその……大人っぽくて」
「ああ、あれは静香の仕業だよ。面白がってたまに凛をあんな格好にさせるんだ。始めてあれで会社に来たときは、社長室に愛人が乗り込んできたって大騒ぎになったんだ」
その情景が脳裏に浮かんだ。
「でしょうね……」
私はそう言いながら安堵からよろめき、蒼紫さんもたれかかった。
「良かった……」
「ん?何が?」
「凛さんが蒼紫さんの恋人ではなくてです」
「そんなわけないだろう。俺は菫花だけだよ。この先の人生で俺の隣に立つのは菫花だけで良い」
そんなプロポーズみたいな台詞に、時めかない女性がいるだろうか?


