桐谷の口から、痛みに耐える声が聞こえてくる。しかし蒼紫はそれを無視して、桐谷の腕を握り潰すかのように、更に力を入れながら冷たい視線を向けた。
「お前は誰だ?何をやっている?」
「俺は……」
言い淀む桐谷の前に今度は一人の女性が現れた。
「あーー!蒼紫、何やってるのよ!何でそんな女を助けるわけ?」
フリルの沢山付いた膝丈のピンクのドレスを着て現れたのは、以前副社長室で蒼紫さんと愛を囁き合っていた凛さんだった。
「凛!お前は何でここに?ややこしくなるから大人しくしていろ!」
「何でよ!蒼紫がパーティーに出るって言うからこっそり潜り込んだのに!」
「お前はまたそうやって……、ワガママを言って入れてもらったんだろう?」
「だって章に言ったら良いよって、すぐに入れてくれたよ」
「関谷の奴、面白い子ってお前のことだな。いいから今日は帰れ」
「何でそんな事言うの?蒼紫は凛の事が好きなんでしょ!」
「そうだけど、そうじゃないだろ!」
痴話げんかの様になっている二人を唖然と眺めていると、桐谷が笑い出した。
「あははは!何だあんたも相当遊んでいるんだな。なら菫花は俺のモノにしても良いだろ」
「ふざけるな!菫花はお前にはやらない。」
それを聞いた凛が、癇癪を起こしたように声を荒げる。
「蒼紫どうしてそんな事を言うの!蒼紫は私だけのモノだよ。そんな女、その男にあげちゃいなよ」
「凛はちょっと黙って!」
蒼紫と凛それから桐谷が言い争うのを静かに聞いていた菫花だったが、菫花の中で何かが切れる音がした。


