私は蒼紫にすがりつくように抱きしめ続けた。様子のおかしな私を見た蒼紫さんは、私をタクシーに乗せ送ってくれた。そのまま菫花は蒼紫さんを帰すことはせずにアパートの部屋に招き入れた。
「それで、あの男は菫花とどういう関係?」
ズバリと聞かれた菫花は、一瞬沈黙するもゆっくりと口を開いた。
「元いた会社の上司……桐谷さん……です」
「それって、ブラック企業の?」
「はい……」
「どうして今になって菫花に接触してきたんだ?」
だんだんと蒼紫さんからの圧が強くなってくる。
「…………」
「菫花、怒っているわけではないんだ。ゆっくりでいいから、あいつについて教えて」
そっと手を握り絞められ、優しく声を掛けられた。
「こんなに震えて……菫花が心配なんだ。あいつに何て言われたの?」
私は俯きながら、震える唇をゆっくりと動かし始めた。
「……っ、私が辞めてつまらない。私は虐めがいがあったって……もっと虐めて従順な女にするつもりだったと」
「なっ……」
蒼紫さんが声にならない声を上げた。
「それに私を守ってやるって……」


