体当たりでもするような勢いで蒼紫の胸へと飛び込んだ菫花は、蒼紫の背に腕を回し強く強く抱きしめた。蒼紫さんが驚いて息を呑む音が聞こえてくる。
「菫花、大丈夫?この人は誰?」
菫花は蒼紫にそう聞かれ、口を開こうとした。それと同時に桐谷を見ると、桐谷はばつの悪そうな顔をしながら舌打ちを打ち、逃げるよう立ち去って行った。
その様子を菫花は見ながら安堵の溜め息を付く。そんな菫花を見ながら心配そうに蒼紫さんが顔を覗き込んできた。
「菫花……」
囁く様なその声が心に染み渡る。
蒼紫さんだ。
久しぶりに触れた蒼紫さんの体から、毎日の様に嗅いでいた蒼紫さんの匂いがした。その匂いを嗅いだだけで、体が疼くような感覚に陥る。自分から蒼紫さんを拒絶しておいて、何をやっているんだろうか。体はこんなにも蒼紫さんを求めているのに、心がそれを拒絶をする。
それはあの女性との会話を聞いてしまったから……。
それでも私は蒼紫さんを求めることを止められない。


