蒼紫さんと社長のお母様と言うことは、紫門さんの奥さん……。確か、名前は京極京子さんだった。時々紫門さんが愛おしそうに、京子さんの話をしていたことがあった。
この人が、紫門さん奥さん……。
私は突然の紫門さんの奥さんの登場に、体を強ばらせた。それにいち早く気づいた蒼紫さんが、私を守るように抱き寄せた。それを見た京子さんの目が見開かれる。
「あなた達、これはどういうことなの?」
凄む京子さんに対して社長が焦った様子で間に入る。
「母さん、これには訳があるんだよ」
「どんな訳だというの?私だけ除け者にして、話を進めようって言うの?そんな事許さない」
唇を震わせながらそう言うと、京子さんは私の前までやって来た。
私はこの人に頭を下げなければいけない。
言葉だけの不倫だったとしても、少なからず私は紫門さんに心引かれ、二人だけの時間を過ごした。残り少ない紫門さんと京子さんの時間を奪ったのは本当の事なのだ。ここで殴られたとしても仕方の無いことだ。そう思い私が頭を下げようとしたとき、京子さんが私の手を取った。
「菫花さん、会いたかったわ」
「えっ……?」


