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「お嬢さん、お嬢さん……」
肩を叩かれ、ゆっくりと瞼を開いていく。
ここは……。
数秒目を閉じ体を休ませようとして、そのまま眠ってしまったようだ。
「お嬢さん大丈夫かい?随分と疲れた顔をしているね」
そう言って私の顔を覗き込んできたのは、自分の父が生きていれば、きっと同じ年ぐらいだろうと思われる男性だった。その男性は眉を寄せ、こちらを心配している様子が窺えた。
「ごめんなさい……ありがとうございます。眠っていなかったため目眩を起こして……ここで休んでいたら眠ってしまったようです」
「そうか……今仕事から帰って来たのかい?」
「はい……」
「夜勤をする仕事なのかな?」
「いえ……その……サービス残業で……今から帰るところです」
それを聞いた男性が更に眉を寄せた。
「それは随分とブラックな会社に勤めている様だね」
「ですよね……」
無表情で応える私の横に男性は腰掛けた。
「良かったら話を聞こうか」


