不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。


 私達は関谷総合商社へと出向いていた。受付でアポの確認をしてから、案内された場所へと蒼紫さんと共に向かう。そして大きな会議室へと通された私達は、待っていた商社の人達と商談をまとめていく。それから二時間を越える商談の結果、双方納得のいく形で商談はまとまった。

「副社長良かったですね」

「ああ、そうだな」

 蒼紫さんの後ろを歩いていると、更にその後ろから蒼紫さんを呼び止める声が聞こえてきた。

「蒼紫!」

 二人で振り返りその声の方へと視線を向ける。すると蒼紫さんが声の主を確認して、嬉しそうに右手を挙げた。

(あきら)、久しぶりだな」

「蒼紫元気にしてたか?」

 砕けた様子で話し出した二人は肩を組み、笑顔で会話を楽しんでいる。それを廊下で見かけた女性社員達が、頬を染めながら見つめていた。二人とも高身長で容姿が整っている。まるでそこだけが映画やドラマの世界のように光輝いていた。これでは女性社員達の目を引くのは当たり前だ。

 それにしても目立つ二人だな。

 背の高さといい、顔立ちといい、女性の目をやたらと引く。

 顔が良すぎるのだろう。

 周りにいる女性達の目がハートになっている。

 そんなことを考えながら回りを見渡していると、こちらに話題が移ってきた。

「それで蒼紫、そっちのお嬢さんは?」

「ああ、俺の秘書で白川菫花さんだ」

「へー。女の秘書さん?蒼紫が女を側に置くなんて珍しいね。俺はここの一人息子で関谷章だ。よろしく」

 そう言って章と名乗った男性が私をなめ回すように見つめてきた。

「章はあまり見るな」

「へいへい。じゃあな、蒼紫。暇なときにでもまた飲みに行こう」

「ああ」

 章さんは軽く挨拶をすると、背を向けた状態で手を振りながら行ってしまった。