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二人の甘い時間が続く、幸せな時間だ。
蒼紫さんはいつだって私を甘やかしてくれる。
仕事は楽しい。副社長の秘書なんて私に務まるのだろうかと思っていたが、何とかやっている。毎日とても忙しいが、充実した毎を送っていた。
秘書の仕事は、副社長のスケジュール管理に調整、社外対応、資料の整理、お茶出し、接客と多岐にわたるが、副社長を支えることが出来る。蒼紫さんの役に立てることが嬉しくて、私は頑張った。
「副社長、本日はこれから関谷総合商社との打ち合わせです」
「ああ……あそこは昔から取引があるんだ。あそこの息子と俺は学生時代からの友人だから、会ったら紹介するよ」
「そうなんですね」
私は仕事モードからフッと表情を和らげると、蒼紫さんも微笑んでくれる。
「菫花……沢山笑うようになったね」
嬉しそうに笑う蒼紫さんにそう言われると、恥ずかしくなる。以前の私はどんな顔をしていたのだろう。毎日辛気くさい顔をしていたのだろう。私は恥ずかしさから、頬を染めると、ボソリと呟いた。
「えっと……蒼紫さんのおかげです」
そう言って俯くと、蒼紫さんが「可愛い」と言いながら頭にキスを落としてくれた。
毎日蒼紫さんはこうやって私を甘やかしてくれる。
それが嬉しくて、くすぐったくて、自然と笑みがこぼれた。
しかし今は仕事中、気を引き締めなければ。
「蒼紫さん時間です。行きますよ」
キリリと顔を引き締めてそう言うと、蒼紫さんがやれやれと肩をすくめた。
「菫花は切り替えが早いね。俺はもう少しこのままでいたいのに」
「ダメです。行きますよ」


