不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。


 *

 二人の甘い時間が続く、幸せな時間だ。

 蒼紫さんはいつだって私を甘やかしてくれる。
 
 仕事は楽しい。副社長の秘書なんて私に務まるのだろうかと思っていたが、何とかやっている。毎日とても忙しいが、充実した毎を送っていた。

 秘書の仕事は、副社長のスケジュール管理に調整、社外対応、資料の整理、お茶出し、接客と多岐にわたるが、副社長を支えることが出来る。蒼紫さんの役に立てることが嬉しくて、私は頑張った。

「副社長、本日はこれから関谷総合商社との打ち合わせです」

「ああ……あそこは昔から取引があるんだ。あそこの息子と俺は学生時代からの友人だから、会ったら紹介するよ」

「そうなんですね」

 私は仕事モードからフッと表情を和らげると、蒼紫さんも微笑んでくれる。

「菫花……沢山笑うようになったね」

 嬉しそうに笑う蒼紫さんにそう言われると、恥ずかしくなる。以前の私はどんな顔をしていたのだろう。毎日辛気くさい顔をしていたのだろう。私は恥ずかしさから、頬を染めると、ボソリと呟いた。

「えっと……蒼紫さんのおかげです」

 そう言って俯くと、蒼紫さんが「可愛い」と言いながら頭にキスを落としてくれた。

 毎日蒼紫さんはこうやって私を甘やかしてくれる。

 それが嬉しくて、くすぐったくて、自然と笑みがこぼれた。

 しかし今は仕事中、気を引き締めなければ。

「蒼紫さん時間です。行きますよ」

 キリリと顔を引き締めてそう言うと、蒼紫さんがやれやれと肩をすくめた。

「菫花は切り替えが早いね。俺はもう少しこのままでいたいのに」

「ダメです。行きますよ」