菫花は言葉に詰まりながら回りを見渡し、意を決したようにゆっくりとこちらに近づいてきた。何故だろうか?菫花はここに誰か来ないか心配している様子だ。ここは副社長室なのだから俺達以外に誰もいないというのに、どうしたのだろうか?菫花はもう一度キョロキョロとしてから、内緒話をするように俺の耳元に手を添えて囁いた。
「愛していますよ」
あまりの不意打ちに、ブワリと顔が熱くなる。俺は顔を手で覆いながら顔を赤くさせていると、菫花が悪戯成功と言った様子で、綻ぶような笑顔を見せた。
ああ……幸せだな。
菫花はよく笑うようになった。
こんなふうに笑い合える日が来るなんて、思ってもいなかった。
この愛しい人を俺は守っていきたい。
父さんの代わりに俺がこの人を幸せにする。
父さんには負けない。
必ず俺が幸せにしてみせるから、父さんはそこから見ていてくれ。
俺は菫花を抱き寄せると、そっと唇を重ねた。
「菫花……愛している」


