よしよしと蒼紫さんの頭を撫でると、満足そうに蒼紫さんも笑った。それを見ていた社長が目を見開いて固まった。私が笑ったことに驚いたようだったが、それ以上に蒼紫さんの様子に驚いた様子だった。それから顎にて手を置き何かを考え込んでいた。
「これは……ふむ……菫花さんに手綱を握ってもらった方が、蒼紫が言うことを聞くかもしれないな」
社長がブツブツを何かを言いながら頷いているが、よく聞き取れない。それから何度かウンウンと頷いた社長が顔を上げた。
「菫花さん、父さんは最初菫花さんを俺の秘書にと考えていたんだよ。しかし、元の会社で疲弊しきった菫花さんの様子を見ていた父さんが、忙しい秘書の仕事では更に体を壊してしまうと考え、山田さんに頼んで清掃の仕事を紹介してもらったんだ。ゆっくり仕事ができるようにとね」
そうだったんだ。
紫門さんの優しい思いが伝わってきて、胸が熱くなった。
「菫花さん、良かったら蒼紫の秘書になってもれえないだろうか?父さんは菫花さんがこの会社に関わる事を望んでいたようだから」
「そうなんでしょうか……」
私が社長と蒼紫さんを見ると、二人は大きく頷いて笑った。


