あの日の菫花の姿を思い出す。キスをした時のトロンとした表情が目に焼き付いて離れない。またあの表情が見たい、もっととろけさせたい、もっと乱れさせたい。もっと違う菫花の顔が見たいという欲求が止められない。

 俺は菫花が一人でいるのを見つけると、誰も使っていない資料室や、会議室に連れ込んだ。そして目の前にある可愛らしい唇を奪った。これは同意が無いため、犯罪になるのだろうか。それでも俺は止めることが出来なかった。菫花はいつも黙って俺の好きなようにさせてくれる。従順な女の振りでもしているのだろうか。

 今日も空いていた会議室に菫花を連れ込み、唇を重ねている。最近は何も言わなくても、唇を開き俺の舌を受け入れるようになった。今も口を開き舌をちらつかせている。随分とキスにもなれてきたようだ。

「お前、父さんともこういうことをしてきたのか?」

 俺の質問に菫花は首を横に振って答える。

「ふんっ……別にかまわないさ」

 そう言ってまた唇を無理矢理に重ねる。

 菫花に嫌がる様子は無い。それを良いことに俺は菫花の唇を奪い続けた。