「あの……副社長……」
あいつの可愛らしい唇が俺に話しかける。
「蒼紫と呼べ」
「えっ……」
「蒼紫だ」
「蒼紫……さん?」
名前を呼ばれただけで、ブワッと体が熱くなり震えた。
何だ……何を喜んでいる。心の中で思わず自分に突っ込みをいれた。ただ名前を呼ばれただけだ。
それ以上何も言わない俺を不審に思ったのか、あいつが顔を覗き込んできた。
「どうかされたんですか?大丈夫ですか?」
コテンと首を傾げる姿が、愛らしかった。
クソ……。
こんな近くにあいつの顔が……。
俺はあいつの後頭部を包み込む様に右手で掴み引き寄せると、呆けた顔のあいつの唇を貪った。
「んっ……っ……ふっ……」


