不倫日和~その先にあるもの……それは溺愛でした。


 *

 俺は一体何をやっているのだろうか。

 びしょ濡れの女、白川菫花を車に乗せ車を走らせている。

 こいつがどうして濡れ鼠のような状態なのかは分からないが、何故かあのまま放置することは出来なかった。

「静香、見れるようにしてやってくれ」

 静香が驚いたような顔をした後、俺を冷やかしながらあいつを連れて行った。

 全くなんだって言うんだ。

 それにしても、あいつのあの状態は……。

 あいつが何も言わない事も気に入らないが、あいつをあの状態にした奴がいるならそれはもっと気にくわない。じゃない……何を言っているんだ俺は……。とりあえず時間が掛かるだろうから、仕事でもしながら待たせてもらおう。

 俺は店の机にノートパソコンを開き仕事を始めた。それからどれぐらいが過ぎただろうか……人の気配を感じ、顔を上げた俺は驚いた。息を吸うことさえも忘れるほどの衝撃。

 俺の目の前には、先ほどまで濡れ鼠だった地味な女から、美しい女性へと変身したあいつが立っていた。

 うそ……だろ……。

 透けるような白い肌、ぱっちりと開いた目、それを縁取るように覆うまつげは長く、頬の下に影が出来ている。その瞳をそっと伏せる姿は、儚げで恐ろしいほど庇護欲を誘う。そこから視線を下げれば、ぷっくりとした唇が儚さとは対照的に、蠱惑的(こわくてき)にこちらを誘ってくる。

 静香がこの子は原石よ、と言ってきた。磨けば更に輝くと……。

 これ以上に……?