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俺は一体何をやっているのだろうか。
びしょ濡れの女、白川菫花を車に乗せ車を走らせている。
こいつがどうして濡れ鼠のような状態なのかは分からないが、何故かあのまま放置することは出来なかった。
「静香、見れるようにしてやってくれ」
静香が驚いたような顔をした後、俺を冷やかしながらあいつを連れて行った。
全くなんだって言うんだ。
それにしても、あいつのあの状態は……。
あいつが何も言わない事も気に入らないが、あいつをあの状態にした奴がいるならそれはもっと気にくわない。じゃない……何を言っているんだ俺は……。とりあえず時間が掛かるだろうから、仕事でもしながら待たせてもらおう。
俺は店の机にノートパソコンを開き仕事を始めた。それからどれぐらいが過ぎただろうか……人の気配を感じ、顔を上げた俺は驚いた。息を吸うことさえも忘れるほどの衝撃。
俺の目の前には、先ほどまで濡れ鼠だった地味な女から、美しい女性へと変身したあいつが立っていた。
うそ……だろ……。
透けるような白い肌、ぱっちりと開いた目、それを縁取るように覆うまつげは長く、頬の下に影が出来ている。その瞳をそっと伏せる姿は、儚げで恐ろしいほど庇護欲を誘う。そこから視線を下げれば、ぷっくりとした唇が儚さとは対照的に、蠱惑的にこちらを誘ってくる。
静香がこの子は原石よ、と言ってきた。磨けば更に輝くと……。
これ以上に……?


