店員達が気合い十分とばかりに一斉に返事をした。
それからヘアメイクを施され、用意された服とヒールに履き替える。あれよあれよという間に全てが終わり、店員さん達の口から「ほぅっ」息が漏れた。
「菫花さんは随分良いモノをお持ちだったのね」
???
一体何のことだろうか、静香さんから褒め言葉のようなものをもらったがよく分からない。
「さあ、こちらへどうぞ」
静香さんに促され、副社長の待つ部屋へと行くと、仕事をしていたのか眼鏡を掛けパソコンを打っていた副社長が顔を上げた。そこで副社長の動きがピタリと止まる。そこだけ時間の流れが止まってしまったかのように動かなくなってしまった副社長。
「蒼紫すごいでしょう。この子は原石よ。もっと磨いたら更に綺麗になるわよ」
「…………」
「おーーい。蒼紫、聞いてんの?」
「ああ……」
あらら……と肩をすくめながら静香さんが笑っている。
副社長からの視線に居心地の悪さを感じ、私は視線を落とした。するといつの間にか近づいてきていた副社長に手を取られた。
「行くぞ」
次は一体どこに連れて行かれるのだろう。
「あの……」
「帰るぞ」
「えっ……でも、仕事が……」
「大丈夫だ。清掃の山田社長には伝えてある」
そんなかってな……と思ったが、あのびしょ濡れの状態ではもう仕事は出来なかっただろう。
私はまた副社長の車に乗り、自分のアパートまで送ってもらったのだった。


