笑って話を逸らそうとすると、蒼紫さんが私の腰に両手を回しながら指を組んだ。

「心配だ。無意識に菫花は可愛い事を言ってきたりするから、男が勝手に好意を抱いてしまうんだろう。ああ、どうすれば良いんだ」

 私の肩に頭を乗せながら蒼紫さんがブツブツと呟いている。私の事で色々と蒼紫さんが思い悩んでくれていることが嬉しい。が……少し心配しすぎな気もする。

「それなら私を絶対に逃がさないようにして下さいね」

 冗談交じりに笑いながらそう言うと、顔を上げた蒼紫さんが真剣な眼差しを向けてきた。

「逃がさない。俺から逃げられないように囲って、一生守ってやる」

 随分と重い答えが返ってきたが、嬉しいので聞き流そう。

「一生守って下さいね。約束ですよ」

 小指を蒼紫さんの前に出すと、蒼紫さんも小指を出し指を絡めてくれた。

「約束する」

 絡んだ指先に蒼紫さんが唇と落としたので、私も同じように唇を寄せた。

 まるでそれは誓いのキスのようで、胸が高鳴った。

 不倫から始まった私の恋は、目の前のこの人のおかげで幸せな恋へと変わった。この人と一緒なら幸せな日々を過ごしていけるだろう。

「大好きです」

「俺も大好きだ」

 二人そろって目元を赤らめながら笑い合った。




     * FIN *