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菫花が目を覚ますと、ベッドに蒼紫の姿は無かった。そっと布団の温もりを確かめると暖かいことから、先ほどまで蒼紫さんがいたことがわかる。シーツの上に手を滑らせていると不安が押し寄せる。
「蒼紫さん……」
独りごちると、バスタオルを一枚腰に巻いた蒼紫さんがこちらにやって来た。
「菫花、起きた?体は大丈夫?」
そう言いながらベッドの端に腰を下ろした蒼紫さんは、私の額にキスを落とした。
「俺は今シャワー浴びてきたけど、菫花はどうする?朝食はルームサービス頼んだからもうすぐ来ると思うけど」
「シャワーを浴びてきます」
「ん、行っておいで。服は静香に持ってきもらったから着てみて」
「ありがとうございます」
熱めのシャワーを浴びて服に手を通すと、滑らかな肌触りに驚いた。黒地に小花柄の派手さのないワンピースは菫花の好みだった。このワンピースの値段て……私のお給料で払えるかしら……そんな事を考えながら支度を整えて蒼紫の元まで行と、テーブルの上にはルームサービスの朝食が並んでいた。
「菫花、そういうワンピースも似合うね」
「あっ……ありがとうございます」
「そう言えば昨日、菫花は俺に抱きつきたいって言ってなかった?」
「そういえばそんな事を言った覚えが……」
そう言うと、蒼紫が嬉しそうに両手を開いた。
「菫花おいで」
キラッキラな笑顔で両手を開く蒼紫さん。
これを拒める女性がこの世にいるだろうか?
私は蒼紫さんの胸に飛び込み、抱きついた。蒼紫さんは開いていた両腕で私を包み込むと、愛おしそうに強く抱きしめてくれた。蒼紫さんの腕の中は暖かくて癒やされる。
「蒼紫さん、大好きです」
自然とそんな言葉が出た。それに蒼紫さんも応えてくれる。
「俺も菫花が大好きだよ」
ゆっくりと目を閉じれば、蒼紫さんが唇を重ねてくれた。


