ドキドキと高鳴る胸を押さえながら見つめ合っていると、蒼紫さんの唇が近づいてくる。あと少しで唇が触れあうといった瞬間、咳払いが聞こえてきた。
「小学生の娘もいるので、そういうのは部屋でやってくれ」
社長にそう言われ凛さんを見ると、頬を膨らませながらこちらを睨んでいた。こういう姿を見ると小学生だなと確信する。
「そうだな。菫花行こうか」
菫花は蒼紫に手を引かれ部屋を出ようとしたところで我に返り、後ろを振り返りながら頭を下げた。
「本日はご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした。また後日改めて謝罪に伺います。凛さんも怖い思いをさせてしまってごめんなさい」
凛の方に視線を向けると、ふるふると首を振って答えてくれた。
許してくれると言うことだろうか。
それを微笑みながら見つめていると「行こう」と蒼紫さんが更に手を引き、歩く事を強要するように腰に手が添えられる。どうやら私に拒否権はないようだ。そのまま廊下を歩き外に出るのかと思いきや、そのままエレベーターで上へと向かう。
「あの……蒼紫さん?」
「部屋を取ってある。嫌か……?」
「あっ……大丈夫です。蒼紫さんに抱きつきたかったので……」


