KISSでチェンジ!

「わかってる」
 純の家から少し離れた場所には養鶏所があり、そこに直売所が設けられているのだ。

以前一度食べてから純たちの家族はその卵の虜になり、普通のスーパーで購入しなくなってしまったのだ。
値段は少し高くなるけれど、黄身が濃くて箸でつかめるほど弾力がある。

そのままの味を卵かけご飯で味わっても十分美味しいものをハンバーグに乗っけるなんてなんという所業か。

 そんなことを思いながら十個入り三百円の卵を大事に抱えて家に戻ってきた頃には周囲は薄闇に包まれていた。
そろそろ街灯が灯り始める時間だ。

 玄関のドアを開ける前になんとなく隣の家の窓を確認する。
 リビングからは明るい光が漏れているけれど、二階は真っ暗だ。

「良明のところも夕飯かな」
 そうつぶやいて、玄関へ入って行ったのだった。