三途の駅のおくりもの




 ……それがどういうことか、理解できなかった。受け入れることを、脳が拒否した。券売機から無情に出てきた切符二枚の有効期限は変わっていない。俺の切符に目をこらすと、今の印字の下にかすれた別の日付が見える。それは、俺が事故に遭ったあの日を示す。

 あの日。舞依は一人でこの駅を見つけた。そこで――何をした?

 俺が、今こうして生きているのは。俺の身に起こった奇跡が、奇跡なんかじゃないとしたら。

 あの日舞依は、自分の切符の有効期限を、あの日死ぬはずだった俺の切符にチャージしたんだ。それを舞依に返すことはできない。券売機の表示はそう告げている。


「ふざけんなよ……!」

 勝手に助けて、勝手に死ぬなんて。覚えた怒りは舞依に向けたものじゃない。あれだけ舞依が誰かのために傷つくのが嫌だったのに、俺の存在が舞依の命の上に立っているなんて情けなくて仕方なかった。

 やり場のない気持ちを握りしめて壁を叩く。その衝撃で、券売機の上から何かが落ちた。