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その日舞依と別れてから、ずっと考えた。本当に俺はこのままでいいのか、と。もっと伝えることがあったんじゃないのか。もっとできることがあったんじゃないのか。いくら悩んでも答えは出ない。
なんだって受け入れてしまった方が楽だなんて結論づけた自分を恥じる。だって今はこんなにも、舞依が死ぬのが嫌でたまらない。いくら後悔しても、もう俺にできることはない。連絡先も家も知らない。それを教えることを舞依が望まなかったから。だから俺はただ、あまりに冷酷な現実を受け入れるほかなかった。
真夜中、家を抜け出して駅に向かう。舞依の魂がいつ来るかわからない。俺は絶対に見逃すわけにはいかないから、日付が変わるまでに駅に到着する必要がある。
まばらな街灯の中、ほぼ暗闇といっていい景色の中でその駅はぼうっと浮かび上がっていた。不気味でもあり、神秘的でもある。
券売機の取出口には、相変わらず舞依の名前が刻まれた切符。恨めしくそれを見て、気づく。券売機のボタンの見慣れない表示の中に見つけたのは、希望の文字列だった。
『使用期限延長』



