ーー放課後。
強風と小雨がちらつく中、結菜はバイト前に日向の今と将来の事を考えながら、日向の家の最寄駅周辺の雑貨屋に向かっていた。
目的は、明日誕生日の陽翔のプレゼントを購入する為だが、何も考えずに店に飛び込んだので店内を眺めるばかり。

二階堂くんの誕生日プレゼント、何にしようかなぁ。
どんなものが好きか、どんな趣味があるかとか、どんなものに興味があるとか、先にリサーチしておけばよかった。

これがもしあいつの誕生日だったら、家族写真が飾れる写真立てとか、ドラマの台本カバーとか、笑ってもらえるような面白グッズとか、あまり考えなくて済むのに……。
今日は丸1日あいつの事ばかり考えてたから、みちるに声をかける事すら忘れてたよ。
あ〜あ、誕生日プレゼントを一緒に選んでもらえば良かった。

あっ、いい事を思いついた!
ヒナタに聞けば素敵なプレゼントを教えてくれるかもしれないね。
新しい情報をいっぱい持ってそうだし。


結菜は早速スカートのポケットからスマホを取り出してリア王を起動させた。
しかし、ログインボーナスを受け取った瞬間、指先が止まる。

……いや、さすがにこれは間違ってるよね。
憧れの人へのプレゼントをAIに決めさせるなんて。
私、何やってるんだろ……。

結菜はスマホをポケットにしまって店内をぐるぐる回っていると、一つの商品に目が止まった。



「プレゼントはこれがいいかもしれない。二階堂くんは穏やかな性格だからピッタリだよね」



結菜はその商品を購入してラッピングしてもらい、建物の軒下で傘を開いてから日向の家に向かった。