もう一度襟を正して姿勢を整える。
賑やかになってきた店内に、いらっしゃいませ、と落ち着いた声が響く。入ってきたのは5、6人の学生らしい男女グループで、その塊の中でおずおずと店内を見回す女の子が目に飛び込んできた。
ヒナだ。
ひらりとしたスカートにシンプルなニット、ゆるくおろした髪を耳にかけながらあたりを見ている。

なんでこんなトコにおまえが来るんだよ。
胸のあたりがどきりと波打つ。