蜜月溺愛心中

朝ご飯を食べ、着替えと身支度を済ませ、椿と清貴は昨日行けなかった観光地を回るために律子に見送られ、旅館を出る。

美しい千本鳥居が有名な伏見稲荷神社、五重塔がシンボルの東寺、京グルメを食べ歩きできる錦市場などなど、観光を椿と清貴は楽しんでいく。

「おいしいな」

抹茶ソフトクリームを食べながら清貴が呟く。刹那、同じソフトクリームを食べていた椿は清貴の方を見た。昨日、触れようとした彼の唇に目を向けてしまう。清貴のさりげない言動が、椿の脳裏に昨日のことを思い出させてしまうのだ。

(私、どこかおかしくなっちゃったの?)

そう自分に問いかけるも、当然答えが返ってくることはない。モヤモヤとした気持ちを抱えたまま、夜を迎えてしまった。

部屋に運ばれてきた夕食は昨日と変わらず豪華で、椿は目を輝かせながら料理に箸をつけていく。そんな中、清貴が「椿」と緊張したように声をかけた。

「酒を頼んでもいいか?少し飲みたい気分なんだ」

「構いませんよ」

「椿は飲むか?」

「お酒、お酌は何度かしたことはあるんですけど、飲めなくて……」

「そうか。……俺の酌はしなくていいからな」