蜜月溺愛心中

「はい」

椿も口角を上げる。まだ不安は消えていない。それでも、この温かい場所に帰って来れたことにただ嬉しさが込み上げてくる。

「ただいま戻りました」

椿と清貴は部屋の中に入る。ドアがゆっくりと閉まった。



見慣れたリビングの明かりがつく。清貴は椿をソファに座らせた後、「ハーブティーでも淹れてくる」と言いキッチンへと向かおうとした。咄嗟に椿は離れそうになる清貴の手を掴んでしまう。

「椿?」

「あっ、ごめんなさい……」

清貴が首を傾げ、椿は慌てて手を離し謝る。清貴は微笑んだ後、椿に「謝らなくていい」と言いながら彼女の隣に座った。

「怖かっただろう。不安になるのは当然だ」

そう言い、清貴は椿の手を取る。再び触れた温もりに椿の不安が少しずつ薄らいでいった。

「ありがとうございます……」

椿はそう言い、ゆっくりと息を吐く。清貴も椿もそれから何も言わなかった。部屋に掛けられた時計の針が動く音がやけに大きく聞こえてくる気がする。数分ほど沈黙が続いた後、椿は覚悟を決めて口を開いた。