蜜月溺愛心中

椿と清貴はマンションの部屋へと帰る。二人は手を繋いだままだったものの、会話はなかった。椿はチラリと清貴を見上げる。何かを考え込んでいるような表情に、椿の胸の中に緊張が芽生えていく。

(清貴さん……。さっき、梓たちに言い放った言葉はあなたの本音ですか?)

梓たちに言い放った「椿と離婚するくらいなら死んだ方がマシ」という言葉がグルグルと椿の頭を巡る。清貴のあの言葉は、椿にとって胸が高鳴るほど嬉しいものだった。しかし、あの言葉は三人を諦めさせるために吐いた嘘なのではないかと思ってしまう。

(私が梓より容姿が劣るのは事実だから……)

清貴には、これまで椿の傷付いた心を救う言葉をたくさんかけてくれた。そのおかげで椿は前を向けた。しかし、久しぶりにあの三人にかけられた否定の言葉の数々が、椿の心に影を落としている。

「椿、おかえり」

清貴が微笑む。いつの間にかマンションの部屋の前まで来ていた。清貴はドアを開け、「中に入ろう」と言う。