(私の知らないところで、お父さんたちと会ったことがあるとか?)

不安と緊張が同時に込み上げてくる。清貴と共にリビングに近付いていくたびに、怒声は大きくなり、何を言っているのかはっきりと聞き取れるようになっていく。三人が誰かに向かって口々に罵声を浴びせていた。

「この不法侵入者が!!警察に突き出してやるぞ!!」

「我が家に無断で押し入って、何が目的なの!?あんたみたいな下等な人間にくれてやるものなんか何もないわよ!!」

「私のストーカー?マジでキモイんですけど!!そのカメラで私のこと撮影するつもり!?」

どうやら清貴は一人でこの家に来たわけではないようだ。協力者は一体誰なのだろうと椿の心臓がドクドクと音を立てていく。椿が緊張する中、清貴はリビングのドアを開けた。

清貴と暮らす部屋の家具は統一されており、どこか落ち着いた雰囲気なのだが、久々に見る灰原家のリビングは海外から取り寄せた高級な様々な調度品が並べられどこか散らかっているように見える。