私のことが好きなのだと、如実に伝わってくる。
あぁ、ここだと思った。
私がこれからも生きていく場所は。
定期集会が終わり、今日は豹牙さんと私が先にエレベーターに乗り込んだ。
ふと視線を感じ豹牙さんを見やると、バツが悪そうに
「悪かったな。族の姫がいなくなったせいで冴妃を姫にするのはどうかって輩が出てきて不快だったんだよ」
と謝られた。
いきなり姫と公言したことへの謝罪。
別に今更いいのに。
でも、あの行動が豹牙さんの嫉妬故のものだと知れて、僅かに頬が緩んだ。
「大丈夫ですよ。私はずっとここにいますから」
肩に頭を預けると、豹牙さんも私の方に顔を寄せてきた。
繋いだ手は離れないまま。
お互いの体温が混じり合ってひとつになっていく。
短い時間だったけど、豹牙さんでしか埋められない部分が満たされる。
若干の重量感を覚え、開いた扉から一歩踏み出し家に帰ると、安堵感に包まれた。肩の力が抜けていく。
息を吸うと、私たちの生活の匂いがした。
「おかえり、冴妃」
「豹牙さんも、おかえりなさい」
こうして『私』──いや、『日比谷冴妃』の生が始まった。
〈了〉
あぁ、ここだと思った。
私がこれからも生きていく場所は。
定期集会が終わり、今日は豹牙さんと私が先にエレベーターに乗り込んだ。
ふと視線を感じ豹牙さんを見やると、バツが悪そうに
「悪かったな。族の姫がいなくなったせいで冴妃を姫にするのはどうかって輩が出てきて不快だったんだよ」
と謝られた。
いきなり姫と公言したことへの謝罪。
別に今更いいのに。
でも、あの行動が豹牙さんの嫉妬故のものだと知れて、僅かに頬が緩んだ。
「大丈夫ですよ。私はずっとここにいますから」
肩に頭を預けると、豹牙さんも私の方に顔を寄せてきた。
繋いだ手は離れないまま。
お互いの体温が混じり合ってひとつになっていく。
短い時間だったけど、豹牙さんでしか埋められない部分が満たされる。
若干の重量感を覚え、開いた扉から一歩踏み出し家に帰ると、安堵感に包まれた。肩の力が抜けていく。
息を吸うと、私たちの生活の匂いがした。
「おかえり、冴妃」
「豹牙さんも、おかえりなさい」
こうして『私』──いや、『日比谷冴妃』の生が始まった。
〈了〉



