冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる


「それぐらい両親はお前にとって大きな存在だったんだろ」

「・・・・・・そうですか」



失ってようやくその大切さに気づくことがある。

『一条冴妃』として生きてきた人生は『私』にとって不幸そのものだった。
それは断言できる。

でも、心のどこかでは頼っていたのかもしれない。

だから家族を失った今、これからのことが少し怖い。



「豹牙さん。私、家族がいなくなったので、正真正銘独りになりました」



弱音をポツリと零すと、豹牙さんがすぐに拾ってくれた。



「俺がいるのにそんなわけないだろ」



ハッとして顔を上げると、夜空色の双眼に射抜かれた。

そして手を強く握られる。

決して離れないように。繋がりが切れないように。