冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

過保護なあまりに与えられる愛情で『私』はいつだって窒息死寸前だった。


私は親の理想の娘として生きられない。

私は豹牙さんとずっと一緒にいたいから。



「今までお世話になりました。必要があれば送っていただいた衣類等は返送します。一度も来ていないので売ってお金にでもしてください。──さようなら」



電話を切り、電源も切った。

急に耳元が静かになった代わりに、疲労感が身にのしかかる。

豹牙さんと手を繋いだまま、ビーズクッションにもたれ掛かった。


──もしかしたら他にも方法があったのかもしれない。

でも、私は親を諦めることでしか自分を保つことができなかった。

自由を知った今、鳥かごに戻ることはもう出来ない。


不意に視界がボヤけた。


「豹牙さん」


両手で豹牙さんの手を包む。



「私は何故泣いているんですか・・・?」



豹牙さんは少し考える素振りを見せたあと、私の頭を撫でた。