冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

電話越しに両親が言葉を失ったのが伝わってきた。
豹牙さんは私がそうすると分かっていたらしく、動揺はない。


2人のうち、先に言葉の意味を理解したのは父親の方だった。



『な、ば・・・、何を馬鹿なことを!お前頭おかしいのか!!!』



また、それか。


「──それをそっちが言うんですか?」


悪いが、いつまでも言われっぱなしの私ではない。


「娘の話を聞かず、自分の我儘だけを押し付ける親が正常なんですか?」


母親の啜り泣く声が聞こえた。



『そんなつもりじゃっ・・・・・・。ママはただ、冴妃ちゃんのことを愛してただけでっ』



確かに『一条冴妃』は親に愛されていたのだと思う。

でもそれは私自身へと向けられたものじゃなくて、親が理想とする娘に向けられるものだ。『私』を想ったものじゃない。