冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

【冴妃side】

翌日、豹牙さんの部屋で朝食を摂った後。

ブレザーのポケットからスマートフォンを取り出し、電源をつけた。消した記憶はなかったが、豹牙さんが気を使って消してくれたのだろう。

画面には何百件もの不在着信が表示された。

どれも両親からのものだ。

応接室を出てから日付が変わるまで何度もかけ直している。


・・・そんなに心配するくらいなら、最初から私の話を聞いていればよかったのに。


そう思うのは見当違いだろうか。


いつものビーズクッションで業務メールを返す豹牙さんの隣に腰を下ろす。

豹牙さんは私を一瞥したあと、また視線をパソコンに戻した。


「・・・豹牙さん」

「どうした」

「今から両親に電話をかけます」


そう意気込みと、豹牙さんは左手をスっと差し出した。