冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

だが冴妃の両親は、冴妃を恥として扱った。


──冴妃ちゃんは意見を聞いてほしいって言うけど、そんなんだから話し合いができないんでしょ?

──恥ずかしい。幼稚園児じゃあるまいし、この歳で感情コントロールすら出来ないのはやばいだろ。


一番心を許せて安心できるはずの家族の前ですら泣くことを許されなければ、冴妃は一体誰に本音を吐露すればいいのだろうか。


──今大事な家族の話をしているの!悪いけど出てってちょうだい!


そのくせ俺の前では家族だと名乗り、俺を追い出そうとした。冴妃はその間も過呼吸で苦しんでいたのに。


思い出しただけでも怒りが込み上げてくる。


あんな奴らのために冴妃が傷つく必要なんてない。俺の元へ来い。実家になんか帰るな。

そう言ってしまいたかったが、決定権は冴妃にある。

俺が強引に誘えば、冴妃もそれが効率がいいと判断し、従うと知っていたから、口にはできなかった。


これは冴妃が自分で考えて選択するべきだ。