冷徹な総長様がただの幹部(私)を溺愛してくる

まぁそれはどちらでもいい。

冴妃が冴妃であるなら、何でも。


泣き腫らして赤くなった目元にそっと触れると、冴妃は微かに口角を上げた。

俺の手から伝わる冷たさが心地いいらしい。


よかった。いつもの冴妃だ。

そのことにひどく安堵する。


正直今日は肝が冷えた。

浬がすぐに俺を呼んで駆けつけられたからよかったが、そうでなければ冴妃がまた潰されていたかもしれない。

俺が行った時点で冴妃は過呼吸を起こしていたから。

さらにその瞳は出逢った頃のように荒んでおり、涙も流していた。


この学園に来てから冴妃が泣いたことなんてなかったのに。


冴妃は心に秘めていたものを口にすると涙を零す。

このことは出会った日と今日のことから簡単に想像できる。俺より付き合いの長い両親ならとっくに気づいてもおかしくないはずだ。